芸能

春風亭昇太 城好きならではの着眼生かした「井戸の茶碗」

売れっ子の昇太は城マニアでも有名(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、城マニアとしても知られる春風亭昇太ならではの着眼点を生かし『井戸の茶碗』で爆笑を呼んだ一席についてお届けする。

 * * *
 59歳にして遂に結婚、今や落語芸術協会の会長でもある春風亭昇太。だがモットーの「収まってたまるか、一生ジタバタしてやる」そのままに、相変わらず若々しくパワフルだ。10月5日に本多劇場で観た独演会「オレスタイル」でも、そんな昇太の高座を堪能できた。

 1席目は部長に初めて食事に誘われた夫に「リストラする罠よ」と言って妻が与えた数々の助言が完全に裏目に出る『リストラの宴』。妻の立てた作戦を実行すべく必死な夫の姿がバカバカしくも愛おしい。

 2席目は『お見立て』。冒頭、杢兵衛大尽に会いたくないと仮病を使おうとする喜瀬川花魁に喜助が「見舞いに来ますよ。どうなると思います? 逃げられないあなたの顔の近くに杢兵衛大尽の顔が……」と言うと「イヤッ! そんなことになったら死んじゃう!」と身震いした喜瀬川はハッとした顔で「そうだ、死んじゃったことにしよう!」と思いつく。この展開が昇太らしくて楽しい。杢兵衛の言う「ひぃふ」が「夫婦」だと思わず夫婦約束してしまったという喜瀬川の告白にも笑った。

 そして素晴らしかったのが3席目の『井戸の茶碗』。随所に独自の演出を盛り込みながら屑屋のキャラを生き生きと描く、ダイナミックな演出に引き込まれる逸品だ。

関連記事

トピックス

俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン