「2004年、テレビの生の討論番組で『慰安婦の強制性』を否定する発言をして、市民団体に糾弾されました。研究所に卵を投げつけられ、ソウル大の学生からも辞職を求める声が上がった。最後は慰安婦施設へ赴き、報道陣の前で、床に膝と手をついて謝罪しました」
李氏は2006年にも、現代史に関するセミナーに乱入した市民団体に暴行を受け、救急車で運ばれている。そして、今回の出版後は同氏の研究室に2人の男が乱入し、ツバを履きかけられたり、電話で「塩酸をばらまくぞ」と脅されたという。電話やメールによる悪口や脅迫も後を絶たない。
2013年に世宗大学の朴裕河(パクユハ)教授が書いた『帝国の慰安婦』は、日帝統治を厳しく批判する一方、自らの意思で慰安婦になった女性がいたことに言及し、訴訟にまで発展した。
出版後、名誉を傷つけられたとして元慰安婦9名が朴教授を告訴。民事裁判で、慰安婦9名に対して各1000万ウォン(当時のレートで約100万円)ずつ支払う判決が下された。刑事裁判では1審で無罪を勝ち取ったものの、2審では逆転有罪判決で罰金刑を言い渡されている(現在最高裁で係争中)。
2015年には高麗大学の鄭安基(チョンアンギ)教授が「慰安婦は性奴隷ではない」と発言し、学生に糾弾されて辞任。2019年10月には延世大学でも柳錫春(リュソクチュン)教授が慰安婦を「売春の一種」と発言して市民団体に告訴されている。崔氏が言う。