「韓国は左派右派の対立が激しい国ですが、反日という一点では同調しています。『日本=悪』の構図を否定するような言説に対しては、左右が団結して徹底的に攻撃を加える。国家にとって“不都合な事実”に触れるものであれば、なおさらです。『反日種族主義』はまさにこれに該当しました。
著者たちは、批判する人々に対して『隠れてないで堂々と公開討論しよう』と何度も呼びかけてきましたが、誰も名乗り出なかった。批判も本の内容ではなく著者の経歴など、本質と離れた話にすり変わっている。今回の過激な抗議活動も、異説を排除する韓国社会の反日種族主義が顕在化したと言えます」
一方で、この本が10万部を超えるヒットになったことは、韓国社会が市井レベルで少しずつ変化しつつあることの現われとも受け取れる。一冊のベストセラーが、韓国社会の「動揺」をあぶり出している。
※週刊ポスト2019年12月6日号