ビジネス

都心の新築マンション 売れないのに価格下がらないのはなぜ

需給バランスが崩れても建ち続ける新築マンション

需給バランスが崩れても建ち続ける新築マンション

 首都圏の新築マンション、とりわけ東京23区の平均価格は7002万円(不動産経済研究所調べ)と相変わらず不動産の“局所バブル”が続いているが、とにかく売れていない。需給バランスは完全に崩れているのに、値段がなかなか下がらないのはなぜなのか──。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がその謎を解き明かす。

 * * *
 新築マンションが売れない。不動産経済研究所が11月18日に発表した10月のマンション市場動向調査によると、首都圏の新築マンション発売戸数は、前年同月比29.5%減の2007戸だった。減少は2か月連続で、10月としては調査を開始した1973年以来最低だという。

 また、月間契約率は42.6%。好不調の目安とされる70%を大きく下回ったのだが、これは10月としては1974年(23.5%)以来、月を限らない場合は1975年8月(42.0%)以来の低水準である。

 なぜ、ここまで売れていないのか。原因はハッキリしている。価格が高いからだ。では、なぜ売れていないのに価格が下がらないのか? それはマンション業界特有の事情も関係しているので説明しよう。

 理由は大きく3つほどある。まず第1に価格が下がらない最大の理由は、「原価が高いから」である。

 新築マンションの価格は原価積み上げ方式で決まる。新築マンションの原価とは、まず土地の仕入れ値がある。ここ6年ほど、都心エリアの土地の価格は高騰を続けている。あまりにも高くなって、業界内で「ウソでしょ」なんて言っていたのが4年ほど前の話だ。そこからさらに上がり続けている。

 最近では少し落ち着いてきた感じがしないでもないが、土地の売り手サイドはまだまだ強気である。だから、今のところ土地の値段が下がりそうな気配はない。

 もうひとつの大きな原価は、建築費だ。こちらはもう10年以上前から上がっていた。

 その原因は人手不足。建築現場で職工さんが足りないのだ。鉄筋工、型枠工、トビが慢性的に足りていない。五輪関係の施設はほぼほぼ完成したようなので、今後は少し緩むかと思ったら相次ぐ台風被害。今度は大工まで不足している。建築現場に行くと、聞こえてくるのは日本語以外の言語。きちんと施工が出来ているのか、若干不安になったりもする。それでも建築費が下がる気配はない。

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン