国内

大学生の違法客引きが増殖中 「飲みサークル」が供給源

客引きは禁止されているのだが……

客引きは禁止されているのだが……

 週末の繁華街を歩くと、条例などで禁じられているはずの客引き(キャッチ)からひっきりなしに声をかけられる。キャッチは若い男性ばかりで、中には…というより、大学生風情の“子供”がほとんどだ。近年、全国で大学生が「儲かるバイト」とすすめられてキャッチに手を染めるケースが増えており、各大学でも注意喚起が行われているが、検挙されるキャッチ学生は減らない。ライターの森鷹久氏が、彼らが安易に客引きに手を染めている実態についてレポートする。

 * * *
 11月6日、明治大学4年の男が、新宿歌舞伎町で違法な客引きを行なったとして逮捕された。そもそも「客引き」自体が違法行為ではあるが、自身が担当する店のライバル店に入ろうとした客に声をかけ「あっちは一杯だが、系列店のうちなら席がある」などと嘘をついて案内していたというから、偽計業務妨害の罪でお縄に…という顛末であった。

 かねてより「違法キャッチ(客引き)」と「ぼったくり店」の密接な関係を取材し記事にしてきた。当然背後には「暴力団」の影がちらつくどころか、積極的に関与しており、大都市の繁華街では見過ごすことができない問題として市民たちを苦しめているわけだが、今回筆者は、元違法キャッチの男性に、その実情を聞いた。

「収入は月に40万を下回ることはなかったです。飲みサークルの先輩の紹介で始めました。あんまり収入多いから、学校行くよりもこっち(キャッチ)がメインになっちゃって」

 中国地方出身で元キャッチ、当時は都内の伝統ある私立大学の学生だった辻悟史さん(仮名・20代)が”仕事”を始めたのは、大学三年生の春頃だった。テニスサークルとは名ばかりの実質”飲みサークル”に所属していた辻さんは、先輩から「儲かる仕事がある」と言われ、新宿歌舞伎町や新橋などで、多い時で週に4度も違法キャッチを繰り返していた。

「その先輩も、さらに先輩から紹介されて仕事をやってました。もうサークルの伝統というか、そんな感じ。俺が働いた分から先輩にいくらか金が行くシステムで、まあネズミ講みたいなもんです。風俗のスカウトみたいな怪しいシステムで、最初は怖かったんですけど、給与額がすごすぎてハマったんです」

 違法キャッチを始めたその日、夕方から明け方まで街に立って、案内できた客は7組計22人ほどだった。これでは大した収入にはならないと思っていたが、先輩から手渡された封筒には2万円を越す紙幣が、なぜか全て千円札の束だった。

「時給でいうと二千円以上。学生にとってこんなに割りのいいバイトはないと思いましたね」

 筆者の取材で、違法キャッチを利用している店のほとんどがいわゆる「ぼったくり店」だったことも判明していた。以前のような「瓶ビールとおつまみでン十万」といったわかりやすいぼったくりではなく、知らないうちにサービス料が加算されていたり、客に無断で出てくるお通しがなぜか千円を超えていたり、説明されないうちにテーブルチャージを取られていたりという今風な「プチぼったくり」店だ。

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン