芸能

ビートたけしが語る「絶対にクスリをやらない」と誓った理由

最新刊『芸人と影』が話題のビートたけし氏

最新刊『芸人と影』が話題のビートたけし

 2019年はピエール瀧や元KAT-TUNの田口淳之介、沢尻エリカなど「薬物」による逮捕が相次いだ1年となった。芸能界の闇について語った新刊『芸人と影』を上梓したビートたけしが、「クスリだけは絶対にやらない」と決意した過去の体験を明かす。

 * * *

 もう半世紀前の話になる。大学に入ったはいいものの、オイラにとっちゃそこは決して居場所のいい場所じゃなかった。大学で勉強なんてろくにしちゃいないし、そもそもゼンゼン行っていない。まずは「設計図を書いてスパナを作りましょう」なんて言うんだけど、そんなもんやってられるかって思ってた。覚えたのはイカサマ麻雀のやり方ぐらいでさ。

 で、そのうち大学の手前の新宿で途中下車してフラフラし始める。ジャズ喫茶のボーイ、タクシー運転手やら、フラフラといろんな仕事をやった後、何かに吸い寄せられるように浅草へやってきた。エレベーターボーイの募集を見たのがきっかけでフランス座に潜り込んで、いつからか踊り子や浅草芸人たちと毎日を過ごすことになった。たまたま深見千三郎って達者な師匠に出会ったおかげで、オイラは芸の道の入り口に立つことができたんだよな。

 だけどそれまでは、学校にも社会にもなんだかなじめなくて、どこかやけっぱちなところがあった。そんなオイラには、浅草の芸人たちのつくる独特の雰囲気がなぜか居心地がよかったんだ。

 その頃の浅草芸人にはみんな「世捨て人」のような感じというか、どこか人生を諦めている匂いがあった。本当はみんなテレビに出て、一発当ててやりたいんだよ。だけど、出られなくてもどこか「まァいいや」という感じがしてさ。で、みんな芸にはプライドを持っているけど、実生活は褒められたもんじゃない。フランス座の楽屋には、空になったヒロポン(覚醒剤の一種)のアンプルが至るところに転がっていた。みんなベテランの芸人たちが使ったものだ。

 そういう人たちの末路は悲惨だった。よくネタにしているけど、段ボールをかぶって隠れて、指で開けた穴から外を見回して、「俺は刑事に監視されている!」ってガクガク震えてる人もいた。典型的な覚せい剤の幻覚症状だけど、その人にとっちゃ本気も本気なんだよな。

関連記事

トピックス

2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
中途採用応募者が急に増えて担当者は困惑(写真提供/イメージマート)
《SNSの偽情報で実害》中途採用に「条件満たさない」応募者が激増した企業、勝手にFラン認定された大学は「少子化の中、学生に来てもらう努力を踏み躙られた」
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
横浜DeNA・藤浪晋太郎を大事な局面で起用する三浦大輔監督のしたたかな戦略 相手ファンからブーイングを受ける“ヒール”がCSの行方を左右する
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン