◆受容の向こう側には幸せや感動がある

 ゴーシェ病以外にも、全前脳胞症、心内膜床欠損症、鎖肛、脊髄髄膜瘤、横隔膜ヘルニアなど初めて目にするような先天性の病気のケースが多く綴られている。

「出生前診断の目的といえば、ダウン症というイメージが強いですよね。でも、ダウン症以外の先天性異常はほかにもある。なのに、新型の出生前診断のターゲットはほぼダウン症。それで大騒ぎをしているのには違和感があります。

 実は、発達障害という病気は、『子どもの10人から15人に1人』という意見もあります。日常的な疾患だと唱える医師もいる。そういった子どもたちは生きる難しさを抱えていて、育てる親には困難がある。

 しかし、発達障害は出生前診断ではまったくわかりません。ダウン症以外にも先天性の病気はたくさんあるという事実も知ってほしいですね」

 一生、山もなく谷もない人生を過ごす人なんていない。大多数は理不尽や不条理な思いを抱えながら、人生のハードルを一つひとつ乗り越えていく。

「それが生きる素晴らしさではないでしょうか。20代、30代で子どもを授かった時、子どもが障害児だったら、人生が終わったように感じる人もいるかもしれません。でも、長く生きていると、人生の不条理って障害児を授かることだけじゃないと気づく。そして乗り越えると、そこには幸せや感動がある。だから、受容できる、できないではなく、絶望やあきらめからでも受け入れてしまった方がはるかに幸せになれる。そういうものだと思います」

※女性セブン2019年12月19日号

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