徴用工像を眺める井沢氏
国民の祝日なのである。「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」という国家が定めた正式な祝日である。もちろん定めたのは現在の文在寅政権で、去年から始まった。今年はこれを記念してソウル市内の南山(ナムサン)公園に新たな慰安婦の群像が建立された。初めて実名で日本を告発(それが8月14日)した元慰安婦の故・金学順(キムハクスン)さんが、韓国、中国そしてフィリピンの若い慰安婦たちを見つめるという形で造られている。南山は、かつて日本の統治の象徴とも言える朝鮮神宮が建っていたところで、光復以後それが破却されてからは韓国独立を祝う象徴的な場所になっている。
この日、それらの群像の除幕式が挙行されたわけだが、セレモニーには陳善美(チンソンミ)女性家族相や朴元淳ソウル市長の他、海外からのゲストも多数出席していた。これも能天気な日本人は軽視しているのだが、いま韓国は世界中に慰安婦像を建立している。とくにアメリカで韓国系市民の多い自治体では、「日本軍の蛮行、慰安婦=性奴隷」という説明板をつけた慰安婦像が公共の場所に設置されている。
今回もそうした韓国の「外交戦略」がもっとも成功しているカリフォルニア州から多くの「応援団」が来ていて、盛んに日本の「悪行」を声高に非難し聴衆の喝采を浴びていた。そのなかでもっとも大物は、この問題に対する日本の態度を徹底的に批判しているアメリカのマイク・ホンダ元下院議員だろう。この人は韓国の主張を全面的に認めてアメリカの下院議会にも働きかけ、「日本は謝罪すべきだ」という決議案を圧倒的多数で採択させている。
日本人はカリフォルニア州に良いイメージを持っている人が多いが、じつは戦前もっとも日系人を差別したのはこの州であり、そのことは太平洋戦争のひとつの原因になっているとすら言えるのである。いずれ『逆説の日本史』本編で詳しく触れることになるだろう。
そもそも「慰安婦=性奴隷」の根拠は「日本軍が一般女性を強制連行して慰安婦にした」というところにある。これが歴史的事実かどうか論争されているころ、吉田清治という男が「私は日本軍の命令で多くの朝鮮人女性を強制連行し慰安婦にしました」と「証言」し、それを朝日新聞が大々的に取り上げてキャンペーンをしたため、一時それが「歴史的事実」として拡散してしまったのである。