ところが、この男はとんでもないペテン師だった。「証言」はまったくの「ウソ」であり「捏造」だったのだ。本人もそれを認めたため朝日新聞も謝罪し訂正したのだが、朝日新聞の謝罪は事実が発覚して10数年後であったことに加え訂正も「歴史的事実」を覆すほど充分なものでは無かったため、この歴史認識の誤りが世界中に広まってしまった。この問題に関する「こじれ」の大半の責任は朝日新聞にある。いまからでも遅くないから、朝日はこの誤解を訂正するためにあらゆる努力をすべきだろう。
もちろん韓国側にも責任がある。日本を徹底的に非難し、それを「商売」にすることでひとつの産業が成り立っているのだ。産業というのは誇張では無い。『週刊ポスト』2019年8月30日号の特集で長く慰安婦問題に取り組んできた韓国人金文淑(キムムンスク)氏は、本来は慰安婦擁護の組織で、現在日本大使館前の水曜デモを主催している挺身隊問題対策釜山協議会(挺対協)を「金儲け一途になってしまった。全てカネ、カネ、カネ。水曜日デモで募金をかき集め、世界中から寄付を集める」と厳しく批判している。
政府が反日を奨励しているがゆえに、こうした金儲け主義の団体があちこちにでき、ますます誤った情報が世界に送られるというとんでもない状況になっている。前出の吉田清治も「職業的詐話師」などと呼ばれそれで食っていたようだが、そういう態度がいまは国全体に広がっているのが韓国なのである。
●撮影/小倉雄一郎
※週刊ポスト2019年12月20・27日号