海老根と話していると、甲子園のお立ち台やプロのヒーローインタビューを聞いているかのような錯覚に陥る。とにかく大人びているのだ。
右の強打者である海老根は、代表での本塁打が中学通算26本目。ちなみに、この数はフェンスオーバーの本塁打のみで、ランニングホームランは含まれていないという。また50メートル走が6秒ちょうどというU-15侍ジャパンでも一番の俊足であり、主に守っているセンターの広い守備範囲と強肩も特筆すべき点だ。とどのつまり、すべてにおいて能力が高いアスリートである。
高校野球は来春の選抜大会から「1週間で500球」という球数制限が導入され、新たな時代を迎える。複数投手の育成が必須となり、選手を各地から集めやすい私立と、公立の戦力格差が懸念される一方で、強豪私立の中学生の獲得競争はよりいっそう熾烈なものとなっている。
昨年の根尾昂(2015年NOMOジャパン→大阪桐蔭→中日ドラゴンズ)や今年の石川昂弥(2016年U-15侍ジャパン→東邦→中日ドラゴンズ)のように、近年は甲子園で活躍し、プロ野球へ進むような球児たちの登竜門となっているのが、U-15侍ジャパンやボーイズジャパン、NOMOジャパンといった中学硬式野球の日本代表である。
海老根は今夏、NOMOジャパンにも選出された。私が記憶する限り、U-15侍ジャパンとのW選出は初めてのケースではないだろうか。
小学生時代には千葉ロッテマリーンズジュニアに選ばれ、さらにはカル・リプケン12歳以下世界少年野球大会にも出場するなど、考え得る理想の野球エリート街道を歩んできている。