◆父は現役競輪S級選手、母は元陸上選手
彼がプレーする姿を初めて見たのは、今年5月に開催されたボーイズリーグの代表選手を選考するトライアウトだった。目を奪われたのは、中学生離れした分厚い肉体で、とりわけ丸太のような太ももだった。
この恵まれた肉体は、両親のDNAによるところもあるだろう。海老根の父・恵太さんは現役の競輪S級の選手であり、母のさおりさんも元陸上選手だ。
トライアウトを訪れていた恵太さんに、注目を集める長男について話を聞いた。
「たいした実力でもないのに、過大評価されていますよね。相手ピッチャーが警戒して勝負を避けることもあって、変な球に手を出して打ち損じることも多い。まだまだ実力不足です。これからの野球人生に関しては、本人がやりたいところでやらせたいと考えています。自分で選んだ道なら、苦しくても頑張れるだろう、と。とにかく野球選手として、肩もあって、走れて、力もあって、そうした基礎的な部分が高いレベルにあって、何でもできる野球選手を目指して欲しい」
同じアスリートとして、トレーニングを指導することもある。「野球を職業にしていく=プロ野球選手になる」ことは、プロアスリートの先輩として心配もある。
「プロの世界が甘い世界ではないということは、本人もわかっていると思います。競技こそ違いますが、私も現役を続けていてケガも絶えないし、骨折して家に帰ってくることもある。そんな姿を彼は見ていますからね……」
アジアチャレンジマッチの直前、海老根は同じユニフォームを着てフル代表が戦ったプレミア12の試合もほとんど球場で観戦したという。海老根が憧れるのは同代表で「4番・中堅」を任され、日本の世界一に貢献した広島の鈴木誠也だ。