70代以上になると女性の方が男性よりも多く服用している高血圧の薬も多くの場合「気休め」であるという。薬学博士の生田哲さんはこう言う。
「200mmHg以上と非常に血圧が高い状態であれば死亡リスクの低下につながりますが、中程度の高血圧ならば死亡率は変わらないのにもかかわらず、血圧の数値だけを見て処方されているのです」
◆抗コレステロール薬
60才以上の女性の4人に1人以上がのむという抗コレステロール薬でも同様の構造がある。
「コレステロール値を下げるためにスタチンという薬がよく使われますが、さまざまな調査によって死亡率の低下につながるといえないことが明らかになっているうえ、横紋筋融解症などといった、重い副作用が起きることもあるのです」(生田さん)
◆腰痛・関節痛治療
多くの人が悩む腰痛や関節痛治療にも“気休め”があった。腰痛には手術や薬などさまざまな治療法があるが、実は腰痛の8割は原因不明だとされる。
「だから手術をしても痛いまま、という場合も少なくない。人工関節も同様で、術後必ずよくなるという保証もない。加えて、変形性膝関節症の治療において、インソールと呼ばれる中敷きを履いて治す方法もあるが、これはアメリカの学会が行った臨床研究によって効果がないことが明らかになっています」(室井さん)
一生懸命、健康対策をしても“気休め”では意味がない。きちんとした情報のもと、選びたい。