プログラムの設定によって、何十枚もある同じ書類の同じ場所にハンコを押すとか、中綴じで冊子型の契約書などで、ページをめくりながら何か所かあるハンコを押す場所を探して押すとか、さまざまな作業が可能になるという。ハンコを押すスピードは、「人間が押すよりちょっと遅いくらい」(デンソーウェーブ広報部)とのことで、高速を売りにしているわけではなさそうだ。
来年3月から月額制でレンタルが始まる。料金については「今後、お客様のニーズを見極めてから決めます」(日立キャピタル広報担当)といい、現時点では未定だ。
しかし、いくつか疑問がある。ハンコは本人が承認したことを示すために押すもので、ロボットが決済を代行することに問題はないのか。
「あくまで人間が書面を読んで承認したうえで、印鑑を押す作業だけをロボットが代行するということです。ビジネス関連の契約書などに押印する作業は意外に時間がかかるもので、こうした単純作業から人間を解放し、もっと重要な仕事に時間を振り向けてもらうというのが開発の趣旨です」(デンソーウェーブ広報部)
ロボットのAIが契約書や稟議書などの内容を認識し判断して、「OK」とハンコを押すわけではないのだ。会社の幹部が、ハンコを押す作業のために時間を取られるのは、会社にとって損失になるという考え方である。
とはいえ、「ROBOTTA」の価格は、購入するとしたら1台約200万円、2台で約400万円。そこにブックスキャナーなどの機器代とプログラム開発費が載ってくるので、決して安価なシステムではない。ハンコ押し作業を代行するとしたら、アルバイトを雇うのとロボットをレンタルするのではどちらが低コストで効率的かという話になるが、人件費より安い、あるいは情報漏洩のリスクを避けるといった理由で、ロボットを使うという選択もありうるだろう。