国内

SNSに蔓延る個人間融資詐欺 被害者が後に容疑者へと変貌も

個人間融資詐欺の被害者が後に容疑者となるケースが増えている(イメージ)

個人間融資詐欺の被害者が後に容疑者となるケースが増えている(イメージ)

 日本人は嘘をつかない、約束を守ると海外ではよく言わてきたが、最近の国内の様子を振り返ると、どうもそうは言っていられないのではないか。天網恢々疎にして漏らさず、どんな悪事も最後には露見するものだという意識で暮らす人が多い社会だったはずが、気づけば連日、誰かが誰かを騙したというニュースばかりだ。ライターの森鷹久氏が、SNSにはびこる個人間融資を利用した詐欺事件から、少女や小学生が詐欺事件の当事者となったのはなぜかについてレポートする。

 * * *
「個人間融資詐欺」と言われてもピンと来ない人の方が多いだろう。

 筆者はこの「個人間融資」について取材し、過去に数度記事を書いてきた。今一度おさらいをすると個人間融資という言葉はその名の通り個人間での金の貸し借りのことだが、ここで指しているのは友達や知人間で金を貸し借りするのとは違い、継続的に金を貸す金融業法違反行為のことだ。法律違反なのだが現実には、ネット検索すると驚くほど多くの「個人間融資」情報が出てくる。最近では主にSNSで金の貸し借りの相談をし、利息や返済日などを決める。まずほとんどの場合は違法な金利を押しつけられ、なかには利息代わりに不本意な関係を強要してくるような貸主がいて、まともに金が借りられる可能性はゼロといってよい。

 ここでおおよそ予想がつくと思うが、個人間融資を利用して金を借りようという人は、たいてい余裕がなく判断力が低下した状態にある。切羽詰まった人の、どうしても金を借りたいという心理につけこむのが「個人間融資詐欺」だ。

 たとえば、SNSで「#個人間融資」などとタグをつけてツイートしている貸主に、金を借りたいと連絡をとったとする。すると貸主は「10万円借りたいのなら、先に保証金として1万円が必要」などのきちんと届け出している貸金業では考えられない条件を出してくる。普通ならここで疑問を抱くのだろうが、思い詰めている借主は応じてしまい、貸主が言うまま保証金を渡す。すると、貸主は保証金を受け取るだけで借主が求める金を渡さないまま、連絡がつかない状態になる。結局、借主は金を借りるはずが奪われる。詐欺に遭うのだ。

 そもそもネットを使った違法な個人間融資は、これまで、ヤミ金規制などで食い扶持を失った暴力団などの反社会勢力が関与しているとみられてきた。法で定められた上限を大きく超えた金利をかけたり、借主に違法な労働を強要して強制的に金を返させるなどして、少しでも多くの金額を借主から奪おうというのが彼らのやり方だ。ところが最近、頻発している「個人間融資詐欺」の被害は、一件ずつをみると数万円程度の額の金を持ち逃げするような規模だ。このような小規模な詐欺を働くのは、従来の個人間融資の貸主では考えられない。新型の貸主たちは、いったい何者なのか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン