尾木さんは「受験勉強的に押し付けなくても、学力は上がります」と語る
尾木さんも同じ見解だ。
「受験勉強的に押し付けなくても、学力は上がります。実際、締め付け型ではなく、桜丘中のような探求型授業を行う学校の方が、全国的にみても学力を向上させています。
例えば京都市立堀川高等学校。授業の一環として、自分の好きな課題を3年かけて探求させるのですが、これを続けていたら、当初は6人しか国公立大学に進めなかった学校が、浪人生を含めて毎年30人以上も京都大学に合格するような進学校になった。“子どもたちが主役”の学校は、学力向上に結びつきます」(尾木さん)
一方で、熱心になるあまり、教育虐待に陥る家庭が増えていることを西郷さんは危惧する。イベントの司会進行役を務めた世田谷区長の保坂展人さんも声をそろえる。
「教育虐待を児童相談所が理解していない場合も多い。子どもは親の所有物ではないのに、親が自分の人生のやり直しのように、過度に勉強を強いる。入試に失敗した場合、子どもの人格を全否定するのも間違っている」(保坂さん)
ユニークで革新的な実業家を多数輩出することでも有名な麻布学園も、『自由闊達・自主自立』が校風。特に受験を終えた中学1年生のうちはしっかり遊ばせて、子どもの好きなことをさせるそうだ。
「そうでないと、子どもは育ちません。中・高時代に詰め込み教育や管理教育を受けてきた子どもは、自分で判断ができず、情熱もない。日本の競争力が衰えているのは、自分の頭で考えて行動できる子どもが激減しているからでしょう」(吉原さん)
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