これから進むべき教育のカタチとは?
「残念なことに、日本は教育に投資する公的支出のGDP(国内総生産)に占める割合がわずか2.9%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国中、最下位です。そのOECDがプロジェクトチームを立ち上げ、これからの教育に必要なことは何かと3年間議論したのですが、結論は“子どもたちの生き延びる力をつけること”でした。今後は、AI(人工知能)と共存する社会になっていきます。AIにはできないこと、つまり新しい価値を創造する力こそ、“生き延びる力”ではないでしょうか」(尾木さん)
文部科学省は新しい指導要領で、「主体的・対話的で深い学び」であるアクティブラーニングの重要性を説いている。
「世界では芸術の必要性が見直され、アメリカのハーバード大学は医学部で美術鑑賞を授業に取り入れました。西郷先生が必要だとおっしゃっている、数字やテストでは計れない非認知的能力をつけようということです」(尾木さん)
「人は本来、“よりよく生きる”という気持ちをもって生まれています。私たちにできることは、こうあるべきだと子どもを型にはめることではなく、子どもたちが自由に発想できる環境を整えてあげること。これは家庭でも同じです」(西郷さん)
保坂さんは客席に向かって、「学校や自治体が動くかどうかはみなさんの声で決まる」と訴え、こう続けた。
「桜丘中をそのまま真似るということではなく、それぞれの地域で“子どもたちが主役の学校”をつくってほしい。それが私たち大人の役目です」
※女性セブン2020年1月2・9日号