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2020.01.01 07:00  NEWSポストセブン

町田康氏 酒をやめて「なぜ人は酒を飲むのか」を考えた

◆自分のことはまともに判断できない

──なぜ幸福の相場感が高くなったのでしょうか?

町田:なんとなく感じることですが、いまの世の中には幸福な状態が普通で、そこから零れ落ちた者は人生の落伍者である、みたいな考え方を強要されている感じはありますね。僕自身にもあるんです。家で地道にしていたら、オレだけ寂しく地味に暮らしている、とひがんだりね。SNSとかインターネットで、人が何をしているのかが見えるようになったことは影響していると思います。以前は比べようがなかったから。

酒をやめるために必要なのは「認識改造」だと話す。

──スポーツ選手が試合前に「楽しんできます」と言ったり、旅行に行く人に「気をつけて」ではなく、「楽しんできて」と声をかけるようになったことに言及されています。納得しました。

町田:いつ頃からなんでしょうね。旅に出る人には、以前は「水が変わるから気をつけて」など、安全を祈る言葉をかけていたと思うんです。いつしか「楽しんできてね」が増えましたよね。「楽しむ」という言葉を口にすることが多くなると、楽しみや幸福が社会に浸透していって、人生を楽しんだ者=勝者で、人生を楽しまなかった者=敗者という考えが広がっていく。

 もちろん世の中は変わっていくものですから、昔のようにすべきだとは思いません。けれど、人生は楽しまなければならないという認識が苦しいのであれば、少しバランスを取り戻したほうがいいんじゃないですか、と思います。

──そこで「認識改造」を提唱され、「認識改造の第一歩は自惚れからの脱却」と書かれています。

町田:とはいえ人は、自分のことはまともに判断できないんです。「私は普通の人間だ」と言いながら、自分は公平に取り扱われていないとか、損をしていると思いがち。「認識改造」のコツは、一度、自分を離れることかもしれません。例えば、自分は1泊いくらのホテルに泊まるべき人間かを考えてみる。3万は高いけど、3000円は安すぎで、1万5000円だなとか。そういう、たとえ話や工夫をこの本には書きました。

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