国内

親のマンションの後片付け、親の物を捨てるストレスで5kg減

古い思い出の写真が元気の源となることも(写真/アフロ)

 父親が亡くなり認知症の母親(85才)を介護することになったN記者(55才・女性)。母親のサ高住の引越しを機に、両親の住んだマンションの片付けをするもその大変さたるや…! 地獄のような廃棄作業が待っていたという。

 * * *
 5年前、認知症の母をサ高住に移し、両親が住んだマンションの後片付けを引き受けたのだが、それは50年余りの私の人生において屈指のつらい作業だった。実際、廃棄業者に引き渡すまでの約2か月間で、5kgも体重が減ったのだ。

 両親が後生大事にため込んだ大量の物。家庭ゴミにしたりリサイクルに出したりして量を減らせば、業者に払う費用が節約できるという希望はあったものの、“親の物を捨てるストレス”は凄絶だった。

 母が新生活で使う服や物はすでにサ高住に運んだ後なので、冷静に考えれば目をつぶって丸ごと業者任せでもよかったのだ。そうやって親の家の片付けをサクッと済ませ、自分の生活に戻った友人もいた。

 でも母の認知症対応でほとほと疲れていた私は、“親の物”の情念にでも取り憑かれたのだろうか。ゴミ袋で捨てられる物を集める一方で、まだ生かせそうな品々の行く先を必死に探し始めた。

 まず服はリサイクル業者に。大型段ボールに4箱、計100kg。壁を埋め尽くしていた本やピアノ、ゴルフ道具はネットで探した業者に引き取ってもらい、無名作家の絵画や壺などは、母のデイサービス事業所に飾ってもらったりもした。

 長年使い込んだ品々はほとんどお金にならなかったが、奔走の甲斐あって、廃棄業者の見積もりからトラック1台分を減らし、6万円の節約。でもなぜか気持ちは晴れず、大きなため息が出た。

 この片付けで、どうしても捨てられなかったのが写真だ。整理されていない状態で段ボール1箱分もある。

 行き場がないのでしかたなく、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の母のクローゼットに押し込み、すっかり忘れていたのだが、最近ふとその箱を開けてみた。セピア色のひと際古い一枚を手に取ると、セーラー服の女子高生らしき一群。その中で妙に親しみのある丸顔がすぐ目に留まった。母だ!

「ねぇ! この三つ編みの子、ママじゃない!?」

 母に目をやると85才の老婆。でも紛れもなく同じ丸顔だ。三つ編みの母は15、16才だろうから約70年の差だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン