会計検査院が公表した「五連関連支出」の一部
省庁の与り知らぬところで、官邸が関連施策に含めてしまったということなのか。政府が関連施策の間口を広げすぎたため、それすら分からなくなってしまっている。
さらに厄介なことに、一方で政府は開催決定当初に謳った「世界一コンパクトな大会」という建前を崩せないでいる。そのため、明らかに不自然な「政府負担分は1500億円」という金額から動かすことができない。それが、五輪予算と五輪関連支出がとてつもなく乖離してしまうという事態を招いた理由である。
会計検査院が公表した1兆600億円のうち、実際にどれが五輪の関連予算として支出されたものなのか、政府はしっかり答えるべきではないか。
◆「レガシー」という大義名分
筆者は民主党政権末期の2012年、復興予算が沖縄の道路建設や霞が関の合同庁舎など、被災地と全く関係のない事業に流用されている問題を追及した。
その問題は窮地の民主党政権に追い打ちをかけ、その後の政権交代につながっていった。その時、きっかけとなったのは、復興予算に官僚たちの入れ知恵で「全国防災」という名目が加わったことだった。それにより、復興予算は被災地以外でも無尽蔵に使える打ち出の小槌となったのだ。