かつて、とあるセレクトショップでジーンズを見ていた時にはこんなこともありました。ちょうど、セレクトショップのオリジナル商品が世に出始めたころだったので、ジーンズの品質を確かめたくて見ていたのですが、おもむろに近づいてきた販売員が得意げに放った言葉に、唖然としました。
「それデニムなんですよ~」
パッと見てジーンズとわかるくらいにオーソドックスなデニム生地が使われていたので、「何を言ってるんだ?」と驚いてしまいました。さすがに「知っています」と返すほど短気ではないので、黙って店を出て行きました。
3年ほど前、低価格カジュアルブランドでセール品を見ていたときには、こんな光景を目にしました。
20代前半の若い男性販売員が女性客相手に熱心に接客しています。どうやら、その女性が質問したアイテムに対して、販売員が「パリコレでも注目されているアイテムなんですよ」といった内容の返事をしたことがきっかけのようです。何分間もずっと話し込んでいたので、話の内容が嫌でも耳に飛び込んできます。
そこから販売員のトークは止むことなくどんどん勢いを増していきました。挙句の果てには、「そもそもパリコレでは…」とパリコレの歴史を語り始める始末です。これで女性客も盛り上がっていれば何も問題はないのですが、女性客はだんだん沈黙し始め、明らかに「パリコレの歴史なんかどうでもいい」というオーラを出していました。さすがにすべて語り終わるまで付き合い切れないので、気の毒な女性客を放置して店から出ました。