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2020.01.12 16:00  NEWSポストセブン

ジェンダーギャップ後進国を地でいくあるレストランの話

 店主は会話を断ち切るように男性に向かって、またお越しくださいませ、とだけいって、店に戻っていった。

「なんだか、すみません」

 仕事関係の男性は何も悪くないのに、私に謝る始末だった。

 無愛想な飲食店なんていくらでもある。分野によってはそれを売りにすることだって少なくない。ネットがない大昔のことだけれど、私はデートでカレーを食べ終わる前に水を飲むとどやされるというシステムの店に連れて行かれたことがあった。ちょっとしたアミューズメントパークみたいな体験だった。

 件のレストランのソムリエを「ハラスメント! 態度を改めろ!」と糾弾したいわけではない。今時、あんなに女性をないがしろにしてこの先大丈夫なのかなあなんてレストランの行く末を心配するほど暇でもない。ちなみに、仕事関係の男性はあれからその店を「Me Tooレストラン」と呼ぶようになった(彼は二度と女性をあの店には連れて行かないでしょうね)。無神経&無自覚な人が世の中の空気を作っているのだなあとしみじみ思った。

 別の日にはこんなことがあった。同世代の女性の友人が昇進をしたので、彼女の道のりをよく知る女友達で集まってお祝いの食事をした。レストランからバーに移動する際、四人でタクシーに乗った。老年の運転手はにこやかにこういった。

「これはまあ、はなやかですねえ」

 中の一人が、主役の女友達を示しながら答えた。

「この人の昇進祝い! 彼女、偉くなったのよぉ」

 酔いも手伝って、はしゃいでいる。運転手は顔をこわばらせながら呟いた。

「昇進? 女の人が?」

 弱々しい口調に、私たちはすっかり黙り込んでしまった。人の良さそうな運転手に悪気はないことはわかっている。これもまた「ハラスメント! 態度と考えを改めろ!」というつもりはない。正確にいえば、そこまでのエネルギーはないのだ。

 悪意がある場合はもちろんだけれど、悪意のある無しではなく、意識的に男女を差別している人には多少めんどうでも立ち向かわなくてはいけないと思う。しかし、無自覚かつささいな意識のずれまでいちいちこちら側で指摘していかなくてはならないとしたら、果てしない気持ちになる。

 ジェンダーギャップ121位の国はなかなかしんどい。

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