ライフ

宇喜多秀家、八丈島の魚でタンパク質とオメガ3摂り長命に

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 今より食糧事情が悪かった時代でも、長生きをした人はいる。健康に気を遣っていたことで知られる徳川家康は73歳まで生きたが、豊臣五大老の一人だった宇喜多秀家は関ヶ原の戦いに敗れて八丈島へ流されたにもかかわらず84歳まで生きた。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、備前宰相・秀家はなぜ長生きだったのかについて語る。

 * * *
 歴史上の人物で、健康オタクといえば、徳川家康だ。ドラマでもよく、薬草を薬研でゴリゴリすりつぶすシーンが出てきたりする。元来、倹約家の家康は食に関してもぜいたくはせず、旬のものを食べるようにしていた。珍しくて高価な旬の走りのものは家臣に渡していたという。

 注目すべきは、剣術や乗馬、鷹狩などで体をよく動かし、雉肉などを焼いて食べていたこと。70歳で鷹狩をしたという記録も残っている。高齢になっても適度に運動をして、タンパク質を摂っていたのだ。

 家康は73歳で亡くなった。ほぼ同時代、家康よりも長生きしたのは宇喜多秀家だ。84歳まで生きた。秀吉政権下、五大老の一人だったが、関ケ原の戦いで家康に負けたため、八丈島に流された。

 流人の生活は江戸のように恵まれたものではなく、秀家は雑穀や豆類を中心に食べたという。幸いだったのは、魚介類を食べることができたことだ。魚でタンパク質とオメガ3のよい油をとることができたはず。

 皮肉なことに、江戸ではおいしい白米を食べることができたが、「江戸患い」が流行っていく。精米することでビタミンB1が不足し、脚気になる人が増えたのだ。徳川将軍のなかにも3人ほど、脚気に悩まされた人がいる。

 秀家の正室は前田利家の娘・豪姫である。その縁があり、流人となった後も加賀前田氏から時々食糧援助を受けていた。ふだんは粗食だったが、ずっと粗食では84歳まで長生きできなかったのではないかと思う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン