「カット時に髪を引っ張ると頭が傾き、パーマのロットを巻こうとすると軽く首を回す。やりやすいと思っての気遣いなのですが、長さや巻きの角度に影響する場合があるため、つねに真正面をキープしてほしい」(美容師)
では、行為が店員さんなどの迷惑になるかは、どのように見極めればよいのか。
「よかれと思っての行為は本当に相手の立場に立っていますか? 自分が店側の人間だったら、こうしてもらえたらうれしいか困るのか。その点を見極める必要があります」と言うのは、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんだ。
「マナーの大前提は“相手ファースト”。自分がこうしたい、こう思われたいではありません」(西出さん・以下同)
とはいえ、客側からすれば居酒屋で皿を重ねる行為が正しい、間違っているというよりも“重ねないと同席者に配慮のない人と思われそう”“気の利く人に見られたい”といった邪な考えが頭をもたげるのも事実。
「本来、飲食店のお皿を重ねるのはNG。でもカジュアルなお店で、店員さんが重ねて運んでいるなら大丈夫です」
そこからは、マナーの考え方を軸にすればいい。
「テーブルのスペースが足りなくなってきたら、皿に食べ残しや調味料がついていないかをチェックして、高く積み重ねるのではなく、数枚をテーブルの端に置くといいでしょう。運ぶ人、洗う人の立場になって考えるのです」
専門家に身を委ねるのもマナーの1つだという。
「美容院で頭を傾けてしまうエピソードがありますが、美容院はヘアスタイルを整えるだけではなく、リラックスする場所でもあります。お客様は何もしなくていい。お金を払っているからではなく、専門家にお任せするというスタンスです」
ただし、こういった指摘が『ありがた迷惑撲滅キャンペーン』となってしまうことを懸念する。
「これが正しいと言われると、ルールのようになってしまうのは反対です。物事には幅があります。だからコミュニケーションが重要。これはやっていいの? 悩んだらまず聞いて確認する。そうすれば、互いに理解でき、ありがた迷惑な行為は減っていくと思います」
◆イラスト/二平瑞樹
※女性セブン2020年1月30日号