日本から輸出される一部の水産物・農産物・食品に狙いを定めて、韓国国内の基準とは異なる、非常に厳しい基準で放射性物質検査が実施されているのだ。そのため、日本側では韓国への輸出品についてそれに合わせた放射性物質検査の実施を余儀なくされている。水産庁漁政部加工流通課の輸出担当はこう話す。
「韓国側は“微量”と言っているだけで、具体的な数値には言及していない。そのため、日本側としては検査機器の検出限界である1キログラム当たり0.7ベクレルを基準に検査したうえで輸出するように対策しています」
韓国は“1ベクレルでも許さない”という姿勢だが、例えばかつて中国が繰り返していた大気中核実験により、今も黄砂には微量の放射性物質が含まれている。日本に対するのと同じ基準で韓国国内を流通する食品を検査すれば、拒否される食品が続出するはずだ。ダブルスタンダードと呼ばざるをえない。
◆食品以外にまで“過剰”な検査
しかも韓国は、この非合理的とも言える検査態勢をさらに強化している。日本貿易振興機構(JETRO)の「ビジネス短信」(2019年08月23日)によると、韓国の食品医薬品安全庁は、昨年8月23日から水産物加工品やお茶、チョコレート、インスタントコーヒーなど17品目の日本産食品に関する放射能安全検査件数を2倍に増やしたという。
さらに今年に入り、韓国による日本産品の“過剰な”放射性物質検査は、食品以外にまで及んでいることが明らかになった。1月7日、食品医薬品安全庁は、日本の化粧品メーカー「フローフシ」のマスカラ7品目、アイライナー3品目から、放射性物質が検出されたとして、販売中止・回収の措置を取ったと発表したのだ。
この件についてフローフシに聞いたところ、1月14日付で以下のような返答が文書であった。
「当該製品から検出されたとされる放射線量は年間0.00000000696ミリシーベルト(マスカラ)、年間0.00000000936ミリシーベルト(アイライナー)と報道されており、これは、私たちが日常生活において自然界から浴びているとされる年間2.4ミリシーベルト(世界平均)の2.4億分の1未満、また、韓国の生活周辺放射線安全管理法や日本政府のガイドライン、さらに国際放射線防護委員会(ICRP)等の国際機関が定めている安全基準値である年間1ミリシーベルトの1億分の1未満という極めて微量であり、当該製品の安全性には全く問題がないと考えています」
検出された数値は安全性にはまったく問題がないとされるレベルだが、ここでも韓国の“微量でもアウト”の方針が貫かれていると考えられる。同社のコメントはこう続く。
「日本政府が公表している通り、私たちの日常の生活環境に普通にある空気、食べ物、飲み水、 土、天然鉱物、そして化粧品を含む一般消費財に配合されている自然由来の原料にも放射性物質は含まれており、そのため自然由来の天然原料を使用している製品には、自然界に普通に存在している天然のトリウムやウランなどが含まれている可能性は当然ありえます。ですから、日本では放射性物質が含まれているかどうかではなく、それが安全上問題のない数値を下回っているかどうかによって規制がなされています。このことは、一般に市販されている食べ物、飲み水なども同じです」