日々ホテル料金をチェックするのも筆者の仕事であるが、繁閑差のあるリゾート地に立地するホテルで、閑散期の冬と超繁忙期の夏の差が10倍程度というのは時々見かける。これはあくまでも通常料金よりも相当安くなった閑散期の料金との比較であり、正規料金との比較でみると差はそれほどでもない。正規料金2万円というリゾートホテルで閑散期に5000円という設定であったが、超繁忙期に5万円になったというような例である。

 需要があるならいくら高く設定してもいいではないか──というのはある種の原則かもしれないが、ホテルの運営会社ではプライスポリシーを設けているケースがある。

 たとえば、お馴染みのビジネスホテルでみると、料金変動が激しい印象のアパホテルでも、「上限は正規料金の1.8倍に決められている」とされ、その範囲内での変動については各ホテルの支配人に裁量が委ねられているという。

 一方、東横インでは、「大型イベントや観光シーズンなど、一時的に宿泊需要が急増する時期に大幅に販売価格を上げ、閑散期には極端に価格を下げるなど、日々価格の変動を行うことで収益の最大化を図ることは宿泊業界では一般的な販売手法となってきた」としたうえで、「日々料金を変動させることはしない」とする。

 続けて、「(予約する)タイミングによって同じ日・同じ部屋の料金が毎回変わるのはお客様の安心感を損なうことになる、そう私たちは考えます。料金の変動が少ないこと=お客様の安心感に繋がるものと確信しています。」(東横イン公式サイトより引用)とし、料金変動が常識というホテル業界にあって際立つスタンスを明示する。

 ホテルそれぞれに考えがあり、どちらが正しいかという問題ではないが、料金設定がもたらす利用者の心象への配慮もホテルブランディングに重要ということだろうか。

「いつも利用してきたホテルなのに」「弱みにつけ込みやがって」という声、「困った時はお互いさま」という発想。いずれもステイする場所を提供するというホテルビジネスだけに繊細なテーマである。

 いずれにしても、一般のホテルや旅館の料金変動については「公共性」が意識されていると強く感じる。「公益に資することが宿泊業の使命のひとつ」というホテル事業者の声もよく聞く。実際に「公益資本主義」を掲げるブランド(リゾートホテルやカプセルホテルなど運営する株式会社サンザ)もある。

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