2012年、レギュラー出演する新番組の会見に出席した雨上がり決死隊の宮迫博之(左)と蛍原徹(時事通信フォト)
そして、YouTubeならではの問題も宮迫をつまずかせている。1本目の動画からも漏れていたが、拭きれない自意識過剰っぷりについて。それに付き合うことは視聴者として難しかった。この鬱陶しさ、テレビ番組で活躍していた時代の宮迫からはそこまで顕著に感じられなかったものである。
テレビは多くのスタッフの手で作られている。視聴者はスタッフが厳重にチェックした映像を視聴している。しかし、YouTubeは少人数のスタッフによって作成されているゆえに様々なチェックが甘い(そこが魅力でもあるが……)。テレビではカットされていたであろう宮迫の自意識過剰ぶりが、YouTubeではダダ漏れ。
たとえば「司会ばかりやって何もつまらない(※何をしてもつまらない)」と言うアンチに対して、自分の芸歴をつかって牽制し、マウントをとるようなことを言い出す。バラエティ番組のひな壇に加わって存在感を示し、地道にコントもやった。下積み仕事から全てをやり、勝ち上がった先に司会の座があったのだと解説をする。反省した結果の殊勝な態度を示さなくてはいけない今、優先してやるべきことではない。
逆に今の宮迫がやるべきことを考えてみた際、まず浮かんだのがYouTubeでも人気ジャンルとなっている「料理動画」である。宮迫は息子の弁当を幼稚園時代から、給食があった小学校時代の中断を挟み、高校卒業まで作り続けている。自身で語ることは少ないがナイスパパ芸人の一人。宮迫の「料理動画」は家族思いの一面が漏れる人間味あふれるコンテンツとして受け入れられるだろう。息子の弁当を作り続けたことによるエピソードも多そうだ。
ストレスが溜まり、自論を言いたくなる宮迫の気持ちはめちゃくちゃわかる。しかし現状、正論を言っても叩かれるだけ。そういった状況下では、お笑い芸人としての枠におさまらない動画で好感度を上げるのが得策だ。刺激が少なく注目もあまりされないだろう。しかし「一からやり直す」人だという印象を持ってもらうには、地道な作業の積み重ねしかない。
その点、ロンドンブーツ1号2号は冴えていた。なんたって淳が相方・亮の復帰の場として選んだのがトークライブである。売れっ子芸人も最初は小さな舞台に立つことからスタートしている。「一からやり直す」を地で行く亮の印象は良く、それに付き合う淳も評価される。事件を経たことにより、かえってコンビが高い信頼感で繋がっていると示すことに成功している。目的と手段が一致しているのだ。