現在の宮迫はロンドンブーツの真逆を突き進んでいる。騒動以前にはまったく関係のなかったYouTuberに自身の再起を託す。1本目の動画では芸人仲間からYouTube活動を反対されたとも語っていた。孤独にさいなまれた結果、「蛍原と再びテレビで共演したい」という目的に対し、間違った手段でアプローチを取り続けている。
過去、宮迫はラジオで若手時代に所属していたユニット吉本天然素材をやめた理由を語っていた。
「天然素材のリーダーになり、意図せず矢面に立ってしまったんや。(自分は)責任感ってのが大嫌いやねん。(他のメンバーより)先輩だから全部オレらのせいにされるやん……」
今回の事件、誘われるままパーティーに出てしまった全ての芸人に問題がある。当然、宮迫だけのせいではない。しかし、出席した芸人仲間のなかでもっとも芸歴が長いという理由から意図せず問題への対応を決断する立場となった。そして最初の処理を誤った結果、長い謹慎となってしまった。
レペゼン地球との動画で宮迫は自身を「ガラスのハート」と評していた。筆者自身も小心者なので宮迫の気持ちがよく理解できる。それゆえ「YouTuberらしい」としか例えられないムチャぶりに芸人の世界で培ってきたテクニックで返答していく現状の宮迫を見ると切なくなる。頑張って欲しいと思って観るがやはり空転している。肝心の「恩返し」である笑いは、まだ提供されていない。
●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで月一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)