こうした暮らしぶりを見ていると、田中氏は決して特別な健康法を実践しているわけではなく、些細な習慣であっても日々の積み重ねを大事にしていることがわかる。最後に「長寿の秘訣は?」と問うと、こんな答えが返ってきた。
「心配事をしないことでしょうね。どうにもならないことは、考えないことです」
生活習慣に加えて、心の持ち方も身体に大きな影響を与えるようだ。
「医師として、人のために役に立つ人生を全うしたい。だから長生きしたいのです。私は89歳で肝臓がんを患ってから、毎日『あと10年頑張ろう』と思って生きています」
●取材・文 西谷格/ジャーナリスト。1981年、神奈川県生まれ。地方新聞の記者を経てフリーランスとして活動。09~15年まで上海に住み中国の現状などをレポート。『ルポ デジタルチャイナ体験記』(PHP新書)が2月末に発刊予定。
※週刊ポスト2020年2月21日号