国際情報

武漢で感染拡大招いた4万世帯参加の「万家宴」 意外な真相

春節を前に武漢の4万世帯が集まった(写真:新華社/アフロ)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が、各地の国際イベントに波及し始めた。スペイン・バルセロナで毎年開催される世界最大のモバイル見本市は中止となり、上海で4月に予定されていたF1中国グランプリは「状況が改善するまで」延期が決定した。歴史作家の島崎晋氏は、新型肺炎の発生地である中国・武漢で「感染拡大の一因」と報じられた、ある大イベントに注目する。

 * * *
 中国武漢発の新型コロナウイルスの猛威はいまだ衰えるところを知らない。中国政府が認めているように、当局の初動対応に問題があったことは否めない。昨年末と言わないまでも、せめて年明け早々に詳細な事実が公表されていれば、春節(旧暦の正月)の移動を控える人はもっと多く、武漢市内で大イベントが開催されることもなかったはずである。

 ここで言う「大イベント」とは、「万家宴」という大食事会を指している。

 2月に入ってようやく、日本の各メディアもこのイベントについて言及し始め、2月8日付けの『読売新聞オンライン』には〈武漢『伝統の大宴会』感染拡大に拍車か…1月半ば、市場近く4万世帯〉という見出しが躍った。本文には〈1月半ばに開かれた地域住民による伝統の大宴会が、感染拡大に拍車をかけたとみられる〉〈4万世帯以上が料理を持ち寄って歓談する伝統行事「万家宴」〉などと書かれている。

 同記事には、市中心部で約18万人が居住する集合住宅エリア「百歩亭」が万家宴の会場だったとあるが、筆者には「伝統行事」という部分が引っ掛かった。貴州省のトン族の村に伝わる「百家宴」という伝統行事なら耳に馴染んでいる。過去に日本の複数のメディアでも取り上げられ、それへの参加を売り物にするツアーまで組まれるほどだから、アジア旅行好きの人であれば認知度が高いはずである。

 それに対して、武漢の万家宴は初耳であった。2月10日付けの『テレビ朝日ニュース』に至っては、万家宴を〈春節の到来を祝う中国南部の伝統行事〉とまで記しており、ますます頭が混乱してきた。

関連記事

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
JALの元社長・伊藤淳二氏が逝去していた
『沈まぬ太陽』モデルの伊藤淳二JAL元会長・鐘紡元会長が逝去していた
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン