芸能

ネタ切れ?働き方改革?朝ドラ、放送中のスピンオフへの困惑

今週は主人公の人生を描く本編ではなくスピンオフが放送(公式HPより)

 戸田恵梨香が主人公の陶芸家・川原喜美子を演じ、視聴率でも好調が続く連続テレビ小説『スカーレット』(NHK)。今週月曜から、「スペシャル・サニーデイ」と題した特別編がスタート。朝ドラでは異例となる放送中のスピンオフに、視聴者から困惑する声が出ている。なぜこのタイイングでスピンオフなのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 残り5週の放送と大詰めの朝ドラ『スカーレット』に異変が起きています。

 24日(月)から放送されている第21週「スペシャル・サニーデイ」にヒロインの川原喜美子(戸田恵梨香)はほとんど登場せず、メインは幼なじみの大野信作(林遣都)と妹の百合子(福田麻由子)夫妻。残りわずかの放送になったところで、喜美子の人生を描く本編ではなく、事実上のスピンオフを放送しているのです。

 これを受けてネット上には、「何で喜美子がいないの?」「早く本編を進めてほしい」などと困惑の声が飛び交っていますが、無理もありません。ヒロインが不在である上に、放送は残り1か月のみ。また、穴窯の窯焚きが初めて成功したシーンのあと、陶芸家として成功するまでの7年間を省いたことが物議を醸していただけに、「肝心なところをすっ飛ばしてスピンオフを入れるのか!」と嘆く気持ちは理解できます。

 本来、朝ドラのスピンオフは、本編終了後に放送されているもの。だからなのか、制作サイドは第21週の放送を「スピンオフ」と明言していないようです。そのため、「本編の放送回数を削ってまでなぜ今これを放送しなければいけないの?」という不満が挙がるのは当然でしょう。

 はたして本編放送中のスピンオフは、どんな意味があり、どんな未来を暗示しているのでしょうか?

◆民放連ドラに似た小刻みな章立て

 本編放送中のスピンオフが意味するのは、「本編の物語が減る」ということ。ネット上には「終了までの時間稼ぎ」「ネタ切れなのか?」などの厳しい声も飛んでいますが、これは本編に対する期待の表れにほかなりません。「スピンオフは本編を減らすほど面白い話なのか」と言いたいだけで、単に不満の声をあげているわけではないでしょう。「本編放送中にスピンオフをはさむ」は、それだけハードルの高い構成なのです。

 また、視聴者の中には陶芸家として成功したところが『スカーレット』のクライマックスであり、2月5日の放送以降は「すべてサイドストーリーであり、スピンオフに近いもの」とみなしている人も少なくありません。朝ドラは近年、「主人公が仕事で成功を収めたあとの残り数週間をどう描くか」という課題を抱え、視聴者から「息切れ」「尻すぼみ」などと指摘されるケースが続いていました。

 視聴者のドラマを見る目が厳しくなり、民放の連ドラですら放送回数を減らす中、週6日で半年間放送するのは、やはり難しいのでしょう。だからこそ制作サイドが「それなら放送中にスピンオフをはさむ形はどうだろう」とトライアルするのも合点がいくのです。

 さらに、スタッフサイドの事情として有力視されているのが、働き方改革の影響。このところ朝ドラは、クランクインの時期を早めたり、今春スタートの『エール』以降は週5日放送に減らしたりなど、働き方改革を踏まえて制作体制を変えています。

関連記事

トピックス

ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
思い切って日傘を導入したのは成功だった(写真提供/イメージマート)
《関東地方で梅雨明け》日傘&ハンディファンデビューする中年男性たち デパートの日傘売り場では「同い年くらいの男性も何人かいて、お互いに\\\\\\\"こいつも買うのか\\\\\\\"という雰囲気だった」
NEWSポストセブン
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン