企業が打つ施策は、反作用を見落としてしまうと、社内外から厳しい批判を受けることになります。ただ、いつまでも政府の指針や他企業と横並びの自粛を続け、さまざまな企業活動の再開が遅れると、企業体力がもたなくなってしまう中小企業なども多いと思います。そこで、前述したような自前の危機管理や判断材料を持っておくことが重要なのです。
感染の広がりは刻々と変化していきますので、その変化に惑わされてしまいがちです。いま起きているフェーズ(段階)と、それぞれの企業が直面している事情を勘案して、施策をスタートする条件を決めておく。いわば“自動スイッチ型”の危機管理をしてほしいと思います。
どんな施策にも反作用はあります。中途半端な施策を打って、さらに窮地に陥らないためにも、最後に以下の5点の「危機管理の鉄則」を記しておきます。
(1)“突然”を控えること
(2)“反作用”を事前に示唆しておくこと
(3)“施策のポリシー(判断の基準)”を語ること
(4)“施策は総論(全体像)を示した上で各論”を語ること
(5)“出口戦略(終了の条件と時期)”をあらかじめ示しておくこと
●たなか・ゆうすけ/1987年東京生まれ。明治大学法学部卒業後、セイコーウオッチ株式会社に入社し、お客様相談室や広報部にて勤務。2014年に株式会社リスク・ヘッジに転職し、代表取締役社長に就任。現在、岐阜女子大学特任准教授も務める。著書に『スキャンダル除染請負人』(プレジデント社)、『地雷を踏むな』(新潮新書)がある。