芸能

田原俊彦の「びんびんシリーズ」を生んだテレビマンの熱意

田原俊彦の名作ドラマの誕生秘話

 マーケティングが幅を利かせる昨今、新機軸の企画を提案しても類似のヒット作を聞かれ、未知数ゆえにボツにされてしまう。ビジネスマンなら、そんな歯がゆい経験を持っているかもしれない。しかし、“前例のない事柄”にこそ、チャンスが眠っているのではないか──。

 3月1日からCS『ホームドラマチャンネル』で田原俊彦、野村宏伸コンビの“びんびんシリーズ”が再放送される。フジテレビ『月9』ドラマ枠を軌道に乗せた同作品は、マーケティングとは真逆の考えからスタートした。

 まず、当時の状況から説明しよう。1980年代前半、フジの月曜夜9時は萩本欽一の『欽ドン!』シリーズが人気を誇っていた。『欽ドン!良い子悪い子普通の子』から『イモ欽トリオ』が生まれ、デビュー曲『ハイスクールララバイ』はミリオンヒットを記録。1982年7月26日には視聴率38.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)を叩き出した。

 しかし、1985年春に萩本欽一が休養宣言。秋に『マイルド欽ドン!』として番組は再開されたが、以前のような視聴率は取れなくなる。そして、1987年3月限りで『欽ドン!』シリーズが終了することになった。

 フジは、月曜夜9時台を7年ぶりにドラマに戻す。のちに『月9』と呼ばれる枠の誕生だ。その第3弾として、8月3日から『ラジオびんびん物語』がスタート。ニッポン放送を舞台に、主演の田原演じる徳川龍之介がラジオ局の営業マンとして奮闘する内容だった。

 田原の連続ドラマ出演は『看護婦日記』以来4年ぶり。デビュー作である『3年B組金八先生』(ともにTBS系)の沢村正治役に代表されるように、田原は陰のある人物ばかり演じていた。しかし、『ラジオびんびん』では笑いも取れる三枚目として起用される。相棒を務める榎本英樹役の野村宏伸は、それまで映画経験のみで、テレビドラマは初挑戦。田原と同じくシリアスな役ばかり任されていた野村も、初めてトボケた役を与えられた。

 1987年、20時台から22時台までの連続ドラマで、男性主演は34本あった(※主演は1話の新聞テレビ欄で最初に名前のある俳優と定義。年齢はドラマ終了時点。年末の二夜連続大型時代劇3本含む。延べ回数)。その平均年齢は39.6歳。この年、44歳を迎える田村正和は『パパはニュースキャスター』など(TBS系)1年で4回も主演を務めている。

関連記事

トピックス

生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
新宿・歌舞伎町で若者が集う「トー横」
虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」
NEWSポストセブン
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン