一般的に、胸部レントゲン検査の数十倍の被ばく線量があるだけでなく、誤嚥して気管にバリウムが入ってしまうこともある。無理な体位で撮影することで、撮影台から転落するといった事故も起きている。室井さんも言う。
「バリウム検査が胃がんの死亡率減少につながったというデータは確かにあります。ただし、早期の段階でがんを見つけられるとは限らない。バリウム検査を受けるくらいなら、内視鏡検査を受けた方が早期発見につながります」
◆内臓脂肪CT検査 高度の被ばくリスクが
「ファットスキャン」とも呼ばれる、腹部を“輪切り”にした断面をCTで撮影して、内臓脂肪のつき具合をチェックする「内臓肥満ドック」を行う病院も増えている。CT検査にも、被ばくの危険がある。
「胸部レントゲン検査の30~100倍の被ばく線量がある。腹まわりの脂肪を測るだけなら、体重やメジャーで充分です」(岡田さん)
◆脳ドック 手術ミスによる死亡率が上昇
頭部専用のCTや、強力な磁場を発するMRIで行われる脳ドックは、脳の動脈瘤を見つけて、破裂を未然に防ぐことが目的だ。しかし、不要な手術が行われるリスクを岡田さんが指摘する。
「9mm以上の大きい動脈瘤ならば、放置するよりも手術した方が死亡率を下げられます。ところが、脳ドックでは非常に小さい動脈瘤まで見つかる。小さいものまですべて治療すると、逆に、死亡率や重篤な後遺症が残るリスクが3倍以上高くなる。これは、手術の合併症によるものです。危険な手術につながる恐れがあるので、むやみに検査すべきではありません」
※女性セブン2020年3月12日号