ギターのボディには「SLAYER」の文字も

 今回のデビューシングルは、謎の多い『スケルトン・キー』という小説の魅力を音楽に引っ張ってくる、という試みだった。今後は、自身の楽曲を題材にした小説の執筆という逆のパターンも考えているという。

「音楽界も出版界も、こうした仕掛けでどちらも盛り上がってくれたら、これほどうれしいことはないですよね」

 実は『HIDE AND SECRET』の歌詞はいまだ公開されていない。その全貌は3月に公開される予定のMV(ミュージックビデオ)で明かされることになっている。そこで目にする道尾秀介の新たな仕掛けに、我々はまたもや翻弄されることになるはずだ。

アイルランドの民族楽器「ボーンズ」の名手でもある

「今は難しいフレーズを練習するためにギターを手にすることはありません」

仕事場の棚の一角にある手製コルク人形の街

【PROFILE】みちお・しゅうすけ/1975年生まれ。2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。2007年『シャドウ』で本格ミステリー大賞、2009年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、2010年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞、2011年『月と蟹』で直木賞を受賞。オフィスには交流があるアメリカの小説家、トマス・H・クックとの写真が飾られている。今年2月、歌手として『HIDE AND SECRET』でメジャーデビュー。「今のところライブの予定はないので、配信でじっくり聴いてもらえれば」。

●撮影/国府田利光 取材・文/小野雅彦

※週刊ポスト2020年3月13日号

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