カフェ入口に掲げられるメッセージボード(写真提供:金田諦應)

「近親者を亡くしたり、大勢の死を目の当たりにしたりした人は、心が固まって動かなくなってしまう。最初は『おとうちゃん、何で私を残して逝ったんだ』とか、『なんで俺だけ生き残ったんだあ』といったような叫び、訴えに近いものしか出てきません。話も断片的だし支離滅裂で、主客が一緒になってしまった状態です。

 それが傾聴を重ねていくと、事実と自分の思いが整理されて、自分を客観視できるようになっていく。理屈の通る形で、その人なりの筋書きの“物語”が語られる。こうなれば一歩も二歩も前進です」(金田さん)

 そうして悲しみを癒し、自分の歩幅で歩き出した傾聴喫茶のお客さんは多くいる。その一方で、一進一退を繰り返す人もいる。金田さんは言う。

「あるとき、津波で2歳半の子どもを亡くした若い母親から手紙が来ました。津波に飲み込まれた時、繋いでいた手が離れて自分だけが生き残ってしまったと苦しんでいました。会って話を聞こうとしたその日、彼女は大量の睡眠薬を飲んでしまった。幸いに一命は取りとめた。

 その後、夫との離婚、新しい男性との出会いがあり、山登りの趣味もできて元気を取り戻したように見えましたが、またそれから1年経って『思い出して苦しい』と電話がかかってきました。この繰り返しが彼女の歩みの日々でした」

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン