国内

震災9年 お坊さんの「傾聴カフェ」訪ねた被災者2.5万人の声

お坊さんの傾聴喫茶は「カフェ・デ・モンク」と名付けられた(写真提供:金田諦應)

 今年もまた3月11日が近づき、メディアでは復興の様子が伝えられる。画面には、東日本大震災の発生当初とは見違えるようになった街並みが映し出される。建物や道路は確かに新しくなり、元通りになったものもあるだろう。一方で、被災者の“心の復興”はどのくらい進んだのか。目には見えないだけに把握することは難しい。

 この9年、これまでさまざまな個人や団体が被災地に入って被災者の心のケアを行ってきた。医療機関、宗教法人、NPO法人、ボランティア団体などだ。宮城県栗原市にある通大寺の住職であり、『傾聴のコツ』(知的生きかた文庫)の著書がある金田諦應(かねた・たいおう)さんもその一人だ。

 栗原市は宮城県の内陸にあり、通大寺は地震による大きな被害は免れた。「何かできることはないか」──そう思いながら被災地に出向いて炊き出しのボランティアに参加していた金田さんは、「宗教者たる自分には心のケアしかない」と思い至る。

 震災から2か月後、団体や個人からの寄付を得て、移動式の無料傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」を仲間とともに立ち上げた。被災地の避難所、仮設住宅、復興団地などに出向いてコーヒーとケーキでもてなしながら、被災者の話に真摯に耳を傾ける(傾聴する)活動だ。

 カフェの入口のメッセージボードには、〈『Cafe de Monk』はお坊さんが運営する喫茶店です。Monkは英語でお坊さんの事。『文句』の一つも言いながら、ちょっと一息つきませんか? お坊さんもあなたと一緒に『悶苦』します〉の言葉を添えた。法衣を脱ぎ、ケーキとコーヒーを軽トラに積み、布教活動はしないと決めて避難所の一隅で被災者を待った。

関連記事

トピックス

世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン