舟木一夫の『高校三年生』は上位に入った(写真/共同通信社)

◆道に迷っているばかり

 学生運動の熱が冷めると、「どう生きていくか」という悩みが若者の間に広がっていく。森田公一とトップギャランの『青春時代』(1976年)の阿久悠の歌詞は若者たちの心をわしづかみにし、「今でも同窓会のシメは肩を組んでこの歌を大合唱」(63・自営業)だという。

 その後登場したのが、本誌・週刊ポストの読者1000人アンケート(表参照)でも1位となった『贈る言葉』(1979年)だ。大ヒットドラマ『3年B組金八先生』で主役を演じ、フォークグループ「海援隊」のボーカルでこのテーマ曲の作詞も担当した武田鉄矢氏(70)が振り返る。

「最終回は卒業式ということは分かっていたから、『青春の一人旅の第一歩を踏み出した』というニュアンスを歌詞に組み入れたいと思った。辛いことに向かって踏み出す『寂しい一歩目』こそが『青春』だと思ったんです。

 それから当時はフォークソングが下火になって、『ニューミュージック』というジャンルが台頭していた。『ニューミュージック』は歌詞に『優しい』という言葉が出てきて、キャッチコピーのように使っていたんですが、それに対して僕はものすごく腹が立っていて。『贈る言葉』の歌詞には、“優しさだけで人間は決まらんぞ!”みたいな、意地や恨みがこめられています(笑い)」

『贈る言葉』のリリース後、武田氏は鹿児島県奄美群島の沖永良部島で、こんな経験をした。

「港の近くで島の中学のブラスバンドが『贈る言葉』を演奏していたんです。僕たちを歓迎するために演奏しているのかと思ったら、みんなこっちに背を向けて、鹿児島の本島に向かう船に向かって演奏している。

 島の中学校に赴任していた女の先生が転勤になって、鹿児島に船で帰るのを、教え子たちが『贈る言葉』で見送っていたんです。演奏している子供たちも、女の先生も泣いていました。その時、“歌というのは作り手から離れて、時代を超えていろんなところを旅していくんだなぁ”と思いました」

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