さらに卒業式で歌われる定番曲にも変化が起きる。『旅立ちの日に』(1991年)が多くの学校で歌われるようになった。それまでスタンダードだった『仰げば尊し』『蛍の光』が恩師との別れや勉学に励んだ日々を惜しむのに対し、この楽曲は卒業を前向きな別れだと捉えている。作曲者で県立秩父特別支援学校教諭の高橋(旧姓・坂本)浩美氏が、曲ができた経緯を語る。
「(秩父)市立影森中学校時代に、校長先生からいただいた歌詞を見た瞬間にイメージが広がって、すぐ曲を作りたいという気持ちが沸き上がりました。音楽室に駆け上がり、ピアノに向かって15分で出来上がりました」
卒業式はなくとも、こうした名曲を胸に刻み、「旅立ちの日」を、迎えてほしい。
※週刊ポスト2020年3月20日号