スポーツ

過密日程確実なプロ野球 22年ぶりダブルヘッダー実施の現実味

3月9日に開催されたプロ野球12球団臨時代表者会議(時事通信フォト)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月20日開幕予定だったプロ野球開幕が延期となった。しかし、開幕日は未定のままだ。クライマックスシリーズも中止の方向で最終調整に入っているとされ、143試合全てを消化できるのかという問題もある。

 そこで議題の1つとして、1日に2試合を消化するダブルヘッダーの実施も検討されているという。野球担当記者が話す。

「ダブルヘッダーは、1998年10月10日の横浜対中日戦(横浜)を最後に行なわれていません。1988年の東京ドームを皮切りに、5年後には福岡ドーム、その4年後に大阪ドーム、ナゴヤドーム、そして1999年に西武ドームができて、12球団のうち半分がドーム球場を本拠地に持つようになったこともあり、消滅した。グラウンドコンディションが昭和の頃と比べて格段に良くなったことも大きく影響しているでしょう」(以下同)

 22年も実施されていないダブルヘッダーに対しては、選手の体力的な問題もあり、否定的な意見も見受けられる。そこで昭和のプロ野球を振り返ると、意外な事実が見えてきた。

「1970年代までは開幕直後からダブルヘッダーが組まれていました。たとえば、パ・リーグに前後期制が導入された1973年、前期1位の南海は4月の2回を含めて前期8回、年間で17回、後期1位の阪急は開幕日を含め年間18回もダブルヘッダーを行なっています」

 この年はセ・パともに4月14日開幕。パの6球団は7月12日までの約3か月で前期の65試合を、後期は7月27日から10月16日までと2か月半で65試合を消化した。

「この年は前後期制ではなく、1シーズン制のセ・リーグも開幕直後からダブルヘッダーがありました。たとえば、広島とヤクルトは7月までに7回も行なっています。1970年代までは開幕直後のダブルヘッダーも、毎年のようにあったのです」

 当時の記録を検証していくと、夏場の東京五輪開催に加えて開幕延期が決まり、過密日程を組まざるを得なくなりそうな今年のプロ野球の参考になるかもしれない。

「現在は、昭和の頃と比べて、支配下登録選手や1軍ベンチ入りの人数、外国人選手枠が増えましたし、投手の分業制も確立された。昔は9人野球が理想とされ、レギュラーと控えの実力差も大きかったですが、最近は主力に休養日を設ける球団もある。それほどチーム全体の戦力が充実してきている。たしかに選手には負担が掛かりますが、チームの環境が昔より良くなっているのは間違いない。疲労度を考慮するなら、今シーズンは1軍登録人数を増やすなどの工夫をしてもいいかもしれません」

 ダブルヘッダーの実施に向けて、さまざまな角度からの検証が望まれる。

関連記事

トピックス

「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止に…(時事通信フォト)
【デフリンピック半年前の騒動】デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止「監督は聴覚障害に理解があるはずでしたが……」 ろう者サッカー協会が調査へ
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《子どもの性別は明かさず》小室眞子さんの第一子出産に宮内庁は“類例を見ない発表”、守谷絢子さんとの差は 辛酸なめ子氏「合意を得るためのやり取りに時間がかかったのでは」
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の新人事、SNSに流れた「序列情報」 いまだ消えない「名誉職」に就任した幹部 による「院政説」
NEWSポストセブン
元女子バレーボール日本代表の木村沙織(Instagramより)
《“水着姿”公開の自由奔放なSNSで話題》結婚9年目の夫とラブラブ生活の元バレーボール選手の木村沙織、新ビジネスも好調「愛息とのランチに同行した身長20センチ差妹」の家族愛
NEWSポストセブン
宮城野親方
何が元横綱・白鵬を「退職」に追い込んだのか 一門内の親しい親方からも距離置かれ、協会内で孤立 「八角理事長は“辞めたい者は辞めればいい”で退職届受理の方向へ」
NEWSポストセブン