国内

コロナがもたらした弊害、国民が政府の言葉を信じなくなった

安倍首相は責任感を持って発言しているのだろうか(写真/共同通信社)

 世界中で感染が拡大している新型コロナウイルス。日本国内では、感染症状のない国民にもパニックが広がっている。

 まずマスクの品不足が始まり、続いて「マスクと素材が同じトイレットペーパーは早期に品不足になる」という趣旨のSNS投稿をきっかけに、全国的にトイレットペーパーの買い占めが始まった。

 また「コロナには紅茶がいい」「いや、白湯が効く」といった科学的根拠のない言説が流布して、そのたびに品薄が生じる。

 古くはオイルショックから一部の日本人の精神性はそう変わらず、危機に陥るたびに個々のエゴが表面化するが、昨今はSNSの発達により、疑心暗鬼に付け込んだデマが一層拡散しやすくなった。

 コロナパニックで深刻なのは、多くの人が政府の言葉を信じなくなったことだ。

 その証拠に、3月3日の記者会見で安倍首相が「トイレットペーパーには充分な供給量がある」と語っても、買い占めは一向に収まっていない。

 感染症対処経験のある医療関係者は「政府はもっと国民を安心させることを発信すべき」と指摘する。

「感染症対策は、どうしても自由や人権を制限してしまうので慎重にならざるを得ない面もあることを政府はシンプルに説明すべきです。その一方で、一斉休校やイベント自粛など国民を萎縮させ、怖がらせることばかり言うと、人々は不安になってトイレットペーパーを買いに行きます。

 新型コロナウイルスの毒性や致死率は強くなく、感染しても無症状か軽症の場合が多いこと、そして日本は世界の中で医療資源などが恵まれた国であり、きちんと対策を取ればそれほど恐れることはないともしっかり発信すべき。もっとも、万が一の際に批判されることを恐れて、“大丈夫です”とは発信できないのでしょうね」

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