厚労省の調査によると、オンライン診療を実施している医療機関は病院で約24%、診療所は約16%。患者が希望しても、かかりつけ医が対応していなければかなわない。オンライン診療を実施する病院をネットなどで探してかかりつけ医を変える方法も、これまではハードルが高かった。

「ガイドラインでは、初診は病院で診察を受けなければならない。さらに診察開始から6か月通院した後に、症状が慢性期に入って安定したと医師が判断して初めて、保険適用でのオンライン診療が可能になった。薬も対面診療の時の処方と同じであれば遠隔で出せますが、薬の種類や分量が変更されるときは一度病院に行って診察を受けなければならなかったのです」

 こうした厳しい規制が、新型コロナ問題で少しずつ変わろうとしている。

◆電話診察とFAX処方箋

 厚労省は「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」(2月25日付)に次の文言を盛り込んだ。

〈風邪症状がない高齢者や基礎疾患を有する者等に対する継続的な医療・投薬等については、感染防止の観点から、電話による診療等により処方箋を発行するなど、極力、医療機関を受診しなくてもよい体制をあらかじめ構築する〉

 慢性疾患を持つ患者が「オンライン診療」「電話診療」でかかりつけ医師の診察を受けたあと、医師が患者の希望する薬局などに処方箋をFAX等で送信し、薬局は患者と相談の上、家族に薬を取りに来てもらったり、郵便などで送ったりする――こうした手続きによる診察や調薬に保険が適用される特例措置が設けられたのだ。

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