国内

中学生への接し方、母親の過干渉はあまり問題ないが父親は問題

学校を変えた西郷校長もついに”卒業”(撮影/浅野剛)

 すべての校則は廃止、定期テストもない、授業中のスマホ利用もOK──あまりにも自由な校風で話題となった東京・世田谷区立桜丘中学校。2010年より同校の校長を務めた西郷孝彦さん(65才)が、この3月に教員生活を終える。教育評論家の尾木直樹さん、麻布学園理事長の吉原毅さんとともに、新書『「過干渉」をやめたら子どもは伸びる』を4月2日に上梓する西郷さんが親の過干渉について語った。

◆父親の過干渉が子どもの自尊感情をそぐ

 自主・自立を促す桜丘中学校にあって、親の理解が得られない場合もある。西郷さんはこう話す。

「少し前の話ですが、父親の希望で音楽関係の高校に進学した生徒がいました。娘に音楽の才能があると思った父親は、バイオリンの英才教育を施していた。学校の音楽の成績が落ちると、“不当評価だ”と言って、学校に怒鳴り込んでくることもありました。

 進学先も父親が“この高校に行け”と決めてしまった。父親は気づいていなかったかもしれませんが、彼女は日々、無気力になっていきました。まるでロボットのように、指示されるがまま演奏するだけ。ネグレクトの子どもが、わが身を守るために自ら考えることを停止してしまうのと同様の状態に陥っていました」

 芸術やスポーツにしろ、勉強にしろ、親がわが子に過剰に強要することを、昨今では「教育虐待」と呼び、問題視されている。

 教育ジャーナリスト時代、世田谷区長の保坂展人さんはこんなケースに遭遇したことを話してくれた。

「母親が“あのレベル以上の高校に進まなければダメよ”と言い、挙げ句、入試に失敗してしまったわが子に向かって、“お前の人生は終わった”と言い放った。結果、家庭内暴力に発展してしまったのです。

 わが子をあたかも自分の分身のように錯覚してしまう。この思い込みが教育虐待を生み出してしまうのでしょう。子どもと親は、別個の人格です。子どもは親の所有物などでは、決してありません」

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン