別府の療養所から出場した近藤秀夫氏もこう振り返る。
「とにかく、笑顔もなくぼそぼそと話す日本人選手と比べて、外国人選手たちは誰もが堂々としていました。その姿を見ていると、日本の施設の職員たちが言う『自立』と、彼らにとっての『自立』との間にはかけ離れた何かがあるんだ、と私は思ったものです。
今なら私もその理由が分かる。要するに、社会での生活を自分自身がコントロールしているという自信というのでしょうか。結婚もして、普通の人たちと同じように街の中で生きている、という自信のようなものが、彼らの堂々とした雰囲気の背景にはあったんですね」
取材・文/稲泉連
※女性セブン2020年4月9日号