新型インフルエンザ発生に伴い、成田空港で機内検疫に向かう検疫官(2009年5月/時事通信フォト)

新型インフルエンザ発生に伴い、成田空港で機内検疫に向かう検疫官(2009年5月/時事通信フォト)

◆新型インフルでは感染拡大の「第2波」が襲来

 新型インフルエンザは、単に感染が拡大して、ピークを迎え、そして収束していったわけではない。多くの国で「第1波」の感染拡大のあとに「第2波」がおとずれたのだ。

 たとえば、アメリカの感染の推移をみると、6月中旬にいったん新規感染者の発生がピークを迎えた。その後、徐々に減少して収束するかにみえたが、9月に入るころ、再び増勢に転じた。感染の第2波の襲来だ。10月後半におとずれたピーク時には、第1波のピークを2倍以上も上回る新規感染者を出した。

 なぜ、2回感染拡大の波が来たのか? 感染症の研究者は、以下のような様々な説を立てて検証している。

【夏休み説】
 ある説では、子どもの感染の仕方に関係があるという。新型インフルエンザは若年者、とくに子どもたちの感染が多かった。ふつう、アメリカでは6月から8月終わりまで夏休みだ。これが幸いして、子どもたちの感染拡大が収まっていた。それが9月以降、学校が始まったために、再び感染が拡大したというものだ。

 今回の新型コロナで、日本政府は3月2日から春休みまで小中学校、高校、特別支援学校を臨時休校とするよう要請した。この説が当てはまるとすれば、学校を休みとしたことで、ある程度、感染拡大が抑制できたのかもしれない。

【突然変異説】
 別の説では、遺伝子の突然変異の発生が原因だという。感染症を引き起こすウイルスは、DNAまたはRNA、どちらかの遺伝子を持っている。新型インフルエンザウイルスは、RNAを持つタイプだ。

 じつは、RNAを持つタイプのウイルスは遺伝子の突然変異が起こりやすい。RNAの遺伝子は、複製時に組み換えやエラーが出やすいことや、複製のスピードが速くて変異体が生じやすいことが、その理由といわれている。この突然変異によって、ウイルスの感染力や毒性が増強されたために、第2波が起こったというものだ。

 新型コロナウイルスも、RNAの遺伝子を持つタイプだ。ただ、このウイルスの特性は、まだ未解明な部分が多い。いずれ突然変異の起こりやすさについて、研究結果が公表されるかもしれない。

【複数集団説】
 さらに別の説では、年齢構成、居住地、免疫特性などの面から、国民がいくつかの集団に分かれていたためと説明する。つまり、第1波がある集団で感染を広げた後、第2波が別の集団を襲ったというものだ。この説に従えば、新型コロナでも、何回も感染拡大の波が襲ってくる可能性が出てくる。

 どの説が正しいかはともかく、注意すべき点は、アメリカでの新型インフルエンザの感染拡大では、波が2回襲来したということだ。今後、新型コロナの感染拡大がいったん収まったとしても、第2波がくる可能性は否定できない。感染症との闘いにおいては、敵はかなりしぶとい、と考えておいたほうがよいだろう。

関連記事

トピックス

園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
今年の”渋ハロ”はどうなるか──
《禁止だよ!迷惑ハロウィーン》有名ラッパー登場、過激コスプレ…昨年は渋谷で「乱痴気トラブル」も “渋ハロ”で起きていた「規制」と「ゆるみ」
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
「お前は俺に触ってくれと言っただろう」バレー部の顧問教師から突然呼び出され股間を…“男児の性被害”からなくならない誤解と偏見《深刻化するセカンドレイプ》
「お前は俺に触ってくれと言っただろう」バレー部の顧問教師から突然呼び出され股間を…“男児の性被害”からなくならない誤解と偏見《深刻化するセカンドレイプ》
NEWSポストセブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン