◆WHOは新型インフルのピーク時に感染者数の公表を中止
WHOは、感染症の拡大状況をホームページで公表している。2009年の新型インフルエンザの感染拡大の推移を、WHOの公表数値でみていくと、途中で2つ大きな変更が行われていることに気がつく。
7月6日までは感染者数、死亡者数を国ごとに把握して公表していた。しかし、感染国が135にも及んだこともあり、しばらく間をおいて、次の7月27日の公表からは、南北アメリカ、西太平洋、ヨーロッパ、東南アジア、東地中海、アフリカ、の6つの地域の集計結果の公表に変更している。
これは、各国に対して個々の感染の検査や報告までは求められていなかったことから、国別の報告数は実際の数よりも少ないと見られたため──とされている。
そして、12月からはついに感染者数の公表をやめて、死亡者数のみを公表するよう変更している。すでに11月末には、ほぼ全世界で207の国と地域に感染は拡大していた。
多くの国で、軽症者などについて、1人ひとり感染者を数えることをやめていたため、WHOに報告される感染者数は、実際に発生した感染者数よりもかなり少ないと考えられた。すなわち、感染の蔓延化により、感染者数の数値の信憑性が薄れたわけだ。
今回の新型コロナでは、1月21日より、いまのところ毎日、国別に感染者数と死亡者数が公表されている。今後もその推移に注目が集まるだろう。ただし、世界中で感染が蔓延化して軽症感染者が増えていけば、感染者数の数値報告そのものが意義を失っていくことも考えられる。