国内

休校延長の学校続々 授業ロスで懸念される学力格差といじめ

臨時休校中に学校を開放するところもあるが、通常授業の再開は程遠い(時事通信フォト)

臨時休校中に学校を開放するところもあるが、通常授業の再開は程遠い(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策として3月2日から実施されてきた公立小中高校の全国一斉休校。あれから1か月以上が過ぎ、各自治体とも4月6日より学校再開、そして新学期を迎える準備を進めていたが、感染者数は増加の一途。緊急事態宣言の発令を前に、多くの地域で臨時休校のさらなる継続が発表された。

 東京都の小池百合子知事は、都市部で感染拡大が止まらないことから、都立校についてGWの大型連休最終日にあたる5月6日まで休校を延長する方針を明らかにした。その他、千葉県や山梨県、岐阜県の公立校をはじめ、政令指定市の4割を超える小中学校も広がる感染状況を考慮し、休校の延長を決めた。

 このままGW前後まで休校要請が続けば、およそ2か月にも及ぶ休みによって発生する“授業ロス”は容易に取り戻せるものではない。

「学校からは〈未指導分の授業の補充については、1学期に必要な時数を確保できるよう工夫して対応します〉という通知がきていますが、春にやる予定だった運動会を秋にずらしたり、夏休みをかなり短縮して授業時間に充てないと難しいと思います」(小学校高学年の子どもを持つ40代女性)

 すでに千葉県松戸市などでは、不足している授業時間を確保するため、今年度に予定されていた市立小中学校の運動会を春・秋問わず一律で中止することを決めた。

 もっとも、授業時間の確保よりも懸念されるのは、長い休校期間中に子どもの学習時間や意欲などによって生まれた“学力格差”の是正だろう。教育評論家の石川幸夫氏がいう。

「共働きで両親が会社を休めなかった家庭は、大量のドリルや教材などを買い求め、子どもに自習させていますが、小学生など自制心のない子どもは、どうしても学習に集中できず、ゲームやスマホに興じる時間が増えていると思います。そんな家庭内における学習習慣の有無によって、学力格差はどんどん広がっています。

 そもそも、子どもたちが今までの学習姿勢や意欲を取り戻すには、たとえ学校が再開されても数か月はかかると考えられますし、たとえば中学生は地域格差によって高校受験対策にも深刻な影響が及ぶ恐れがあります」

 また、終わりの見えない外出自粛や閉そく状態による不安感は、親だけでなく気づかぬ間に子どもの心も蝕んでいるという。

「毎日家に閉じこもり、就寝時間が遅くなるなど生活習慣が乱れると、子どもでも“鬱状態”になります。子どもは自分の限界を知らないため、心にダメージを受けてもなかなか気づかず、ある日突然……という状況に追い込まれてしまいます。

 その原因は親の行動や発言にもあるといえます。1日中コロナ感染拡大のニュースばかりを見て、会社の先行き不安ばかりを口にしたり、在宅ワークのストレスからモラハラ行為をしてしまったりする家庭では、子どもがその影響をもっとも受けやすい。精神面からくる過度な不安感が恐怖心に変わり、心身ともに異常をきたしてしまうのです」(前出・石川氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト