そして、子どもたちの見えないストレスの“はけ口”として表面化してしまう恐れがあるのが「いじめ」だ。2009年に猛威を振るった新型インフルエンザの時も、感染が分かった生徒や学校に対する誹謗中傷が広がり、社会問題化した。
「今回も海外で日本人が『コロナ』とからかわれたり、“咳エチケット”をめぐって電車内でトラブルになったニュースなどが出たように、子どもたちの学校内でも、隣の席の子が咳をしただけで『コロナ』とか『ウイルス』などと呼ばれ、いじめの対象になってしまうケースが出てくるかもしれません。
大人の言動や行動が引き金となって、子ども社会にも差別や偏見が広がってしまうことを避けるためにも、教育現場では今まで以上に神経を集中して子どもたちの心のケアをしていかなければなりません」(同前)
いじめ防止の対応策として、石川氏は教員だけでなく「教育経験のある人たちの協力」や「スクールカウンセラーや校医の常駐」などを挙げる。
「今年はコロナの影響で運動会のほかにも、高学年の林間学校や修学旅行などの行事も中止が検討されています。子どもたちが初めて経験する友達同士の連帯感やコミュニケーションを深める場が次々と失われてしまうことで、心がギスギスしないか心配です」(30代の小学校教員)
「コロナ疲れ」や「コロナ鬱」といった精神不安が社会全体に蔓延しているが、差別やいじめが横行する“パンデミック”だけは起こしてはならない。