会社帰りに飲みに行くと、ほっとできる相手だった。そんなところに惹かれていったという。(イメージ)
◆こういう人と付き合うとラクだろうな
俊太さんを忘れるためにも、必要なのは新しい出会いだった。そこで美咲さんは初めて合コンに参加する。これまで、出会いのための出会いには否定的だったが、30歳をすぎた今、持論を曲げることも必要だと考えた。何度か合コンに行き、慣れてきた頃に出会ったのが耕太郎さんだった。
「第一印象は……真面目な普通のサラリーマン(笑)。その合コンでも目立ってるほうではありませんでした。ただ、クラシックやオペラが趣味で、私も小さいときからフルートを習っていてクラシックが好きなので、案外話が合ったんです。子どもが好き、とも言っていたので、好感を持ったというのもあります」
大手企業で働く耕太郎さんと美咲さんは職場が近く、仕事帰りに食事に行くようになった。真面目なサラリーマンのイメージは変わらなかったが、いつも優しく穏やかで、料理や家事が好きだという耕太郎さんと付き合うとラクだろうな、と思うようになった。美咲さんが大きなプロジェクトを担当し、充実感はあるもののヘトヘトになっていた時でもあった。
「思い返せば、元彼と付き合っていた頃、私の生活は恋愛重視だったんです。そんなに得意でもない料理を頑張っていたし、家事もほとんど私がやっていました。好きだから楽しかったんだけど、一方で、仕事はどこか疎かになっていた。そういう生活に疲れていた部分もあったんじゃないかと……、今になって思います」
耕太郎さんに告白されたとき、迷わず「はい」と答えたのは、トキメキはなくても、共に生活をしていくにはこういう人がいいのだ、と、納得できていたからだ。付き合ってみると、俊太さんは想像通りラクな彼氏で、将来、子育てしながら働く自分の姿がクリアに思い描けたと美咲さんは語る。