銚子電鉄の終着駅、外川駅(時事通信フォト)

銚子電鉄の終着駅、外川駅(時事通信フォト)

 ぬれ煎餅、まずい棒、そして音楽配信サービスと貪欲に運賃外収入を求めてきた銚子電鉄は、次なる手段として“お先真っ暗セット”を4月20日から発売した。同セットは、サングラス・メガネ拭き・定規としても使えるキーホルダー2種・マグネットがセットになった商品。そして、お先真っ暗セットと同時に新型コロナウイルスによって品薄状態が続くマスクの販売も開始。

「お先真っ暗セットは、まずい棒に続く自虐ネタです。これは、もともとイベントなどで販売していたグッズをセット販売にした商品です。新型コロナウイルスによって、イベントが中止になって販売できなくなってしまったので、インターネットによるセット販売へと切り替えました。また、新型コロナウイルスの影響で生産ラインが停止してしまった工場と協力して製造した手づくりのマスクの販売も始めました。銚子電鉄を残していきたいという地域の気持ちと、地域を応援したいという銚子電鉄の気持ちがひとつになって始めた企画です」(同)

 銚子電鉄のグッズ販売は、少人数で企画・担当していることもあり、手が回っていない部分もある。新企画が出てきても、着手までに時間を要する場合もある。それでも、新たな展開を貪欲に模索する。その姿勢が買われてか、「お先真っ暗セット」や、直後に販売開始となった「銚子電鉄コロナウイルスによる廃線危機救済セット」は現在、当初の予定分を完売した。だがこれでは十分と言い難い。今後も、新たなグッズ展開を予定しているという。

新型コロナウイルス禍は春休み、そしてゴールデンウィークという鉄道会社にとって書き入れ時を直撃した。そして、終息する見込みも立っていない。

 鉄道会社を応援したいと思っている人は少なくないが、不要不急の外出を控えるように言われている今、銚子電鉄に乗って応援することはハードルが高い。しかし、ネット経由でグッズを購入することは全国どこからでも難しくない。

 銚子電鉄の奮闘は、苦しい経営に追い込まれている鉄道各社の参考になるだろう。なにより、励みにもなるはずだ。銚子電鉄に触発されたかのように、ネットで自社ノベルティグッズや不要になった鉄道部品などを販売する鉄道会社も出てきている。

 新型コロナウイルス禍はまだ続きそうな気配だが、乗り越えようとする鉄道各社の奮闘にエールを送りたい。

銚子電鉄の車内が3密になることはほとんどない(時事通信フォト)

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