なぜ「百合子マスク」がSNSを中心に大きな共感を集めているのか。「いかにも手作りで都知事も私たちと同じという気持ちを抱かせてくれました。『百合子マスクの作り方』はネットで注目のキーワードになっています」とSNS事情に詳しく、小学生の子供を持つITジャーナリストの高橋暁子さんは解説する。
「小池さんが布マスクをつけだしたころは、我が家も花粉症のために早めに買っておいたストックがなくなって、マスクを手作りする話が友人との話題にのぼりはじめたころでした。そのタイミングで、どうにかして使い捨てマスクを手に入れられるセレブだと誰もが思っていた都知事が、手作りの布マスクをつけてきた。新型コロナウイルス対策について何かとズレを感じる国会の人たちと違って、自分たちの気持ちを分かってくれると思わせてくれました」
また、小池都知事の布マスクはサイズが大きめで、いかにも手作りだということ、わざとらしくなかったことがSNSで人気を集めた大きな理由だろうという。
「もしあの布マスクが、いかにもプロが作った豪華なものだったり、何かを宣伝する目的が見え見えのものだったら、こんなに共感を集めなかったと思います。かわいらしい布で手作り感があるので自分でも作れそうだし、マスクはどれも同じになりがちだけど毎回違う柄で小粋な女性らしさを感じさせるのもSNS映えする。コロナのニュースばかりで殺伐とした雰囲気のなか、ニュースでの露出が多い都知事みずからオシャレを楽しみたい気持ちを刺激してくれました」
都知事が着用している布マスクは、東京都政策企画局総務部によると、ラジオ番組でのインタビューで小池氏が話した通り、近所の人から何枚か製作してもらったもので、どれを着用するかは毎回、自分で選んでいるそうだ。その日のファッションに合わせるセンスの良さは、身近なものも「SNS映え」を基準に選定される今の時代に歓迎されるものだったのだろう。